車を売却する際に、ETC車載器を取り外すか、そのままの状態で買取業者に売るかで迷っている方が多いですね。
また、ETC車載器を新規購入したり、車を買い替えた際の手続きや、ETC利用によるポイントの引き継ぎについても気になるところでしょう。
今回は、車の売却時のETC車載器の取り扱い方法や再セットアップの手順など、ETCに関連する手続きを分かりやすく説明いたします。
さらに、ETC搭載車の買取価格や、ETC車載器の状態が査定価格に与える影響についても取り上げます。
これらの情報をもとに、ETCに関する疑問や不安を解決し、スムーズな手続きで車を売却していただけるようにしましょう。
ETCとは?
ETCとは、日本語で電子料金収受システムを意味し、高速道路などの有料道路における料金所で自動的に料金を支払うためのシステムのことです。
車やバイクなどの車両に搭載されたETC車載器と、料金所に設置されているアンテナが無線通信を行い、料金の自動支払いが可能になります。
ETCは、現代の交通インフラにおいて非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
これにより、料金所での停車や現金による支払いが不要となり、スムーズな通行が可能になるだけではなく、環境にも配慮した形での移動が可能になりました。
具体的には、料金所での停車時間の削減によって排出ガスの量が減り、環境負荷の軽減につながっています。
ETCが日本国内で導入されて30年近くが経っています。
1997年に、小田原厚木道路の小田原本線料金所において、業務用車両を対象としたETCの実験がスタートしました。
同年の12月には、東京湾アクアラインで、路線バスを対象とした実験が実施されました。
1999年の10月には、ORSE(自動車業界と電気通信業界、クレジット業界が連携して設立した公益法人)が車載器と道路上アンテナの互換性試験を開始し、デンソー製の車載器が最初に承認されました。
2000年4月には、東関東自動車道で実験が行われ、同年7月には福岡高速道路の榎田インターチェンジで先行的な導入が試みられました。
2001年3月には千葉と沖縄で一般向けの利用がスタートし、同年7月には日本の主要都市圏の一部で利用が始まりました。
そして同年11月には、国内の高速道路全体でETCの普及が始まりました。
2016年からETC2.0が導入され、従来のETCが行っていた料金の自動決済機能に加え、リアルタイムの交通渋滞情報をもとに回避ルートを提示する機能や、有料道路の利用料金が割引されるなど、多様な情報サービスが提供されるようになりました。
ETCカードにはクレジットカードの機能が組み込まれており、料金支払いが簡単かつ便利になっています。
また、ETCカードには、様々な種類の割引制度が用意されており、お得に高速道路を利用できます。
これらの割引には、曜日や時間帯、利用回数に基づくもの、特定の区間に限定されたもの、渋滞を避けるための迂回ルートを利用すると適用されるものなどがあります。
なかには、地方の高速道路の通行料金に大幅な割引が適用されるものもあります。
さらに、ETCカードを利用し、ETC高速道路の利用履歴に応じてポイントが貯まるETCマイレージというサービスも開始しています。
貯まったポイントは、高速料金の支払いに利用でき、お得に高速道路を利用できます。
今後もさらなる技術革新やサービスの向上が期待されており、自動運転技術の発展によって、ETCシステムと連携したスマートハイウェイの実現が進むことで、交通渋滞や事故の削減、燃費の向上など、さらなる交通インフラの効率化が図られるでしょう。
これからも、ETCシステムは日本の交通インフラの発展に寄与し、ドライバーにとって便利で快適な道路環境を提供し続けることが期待されます。
ETCがあると査定価格は高くなる?
ETCの有無が、車の買取価格にどの程度影響するのか、またそれぞれのメリットや最適な選択肢を見極めるポイントについて説明します。
これらの情報を理解することで、最適な選択を行い、無駄のないスムーズな車売却が可能となるでしょう。
お得な条件で手続きを行うためにも、ポイントを押さえましょう。
ETC装着車での査定価格とは?
ETCを付けたままの状態での車の買取価格をETC搭載車の買取価格と言います。
ETC付き車は利便性が高まるため、査定額が高くなることが期待できます。
しかし買取価格はETCの種類や機能、取り付けの状態、また車そのもののコンディションや年式などによっても左右されるため、必ずしも高価買取されるとは限りません。
新型で高機能なETCほど価格が上がることが多いですが、全ての場合でETCの存在が査定価格を大幅に上昇させるわけではないことに注意が必要です。
そのため、車を売却する際には、ETCの性能や取り付け状況を考慮し、適切な買取業者を選択するようにしましょう。
さらに、いくつかの業者に査定を依頼して競合させ、最終的には、全体的な条件を比較検討したうえで選択するのがおすすめです。
ETCを付けたまま売却するメリット
ETC車載器を取り外すかどうか迷う人もいますが、ここではETC車載器をそのままにしておく利点を説明します。
ETCを装着したままの利点として、査定価格が上がる可能性や、取り外しに要する手間や費用が不要になることが挙げられます。
ETC搭載車は、装置がない車に比べて、査定額が最大で約1万円程度高くなることが一般的です。
ただし、この価格差はETCの性能や新しさによっても変わるため、査定の際にはそれらの要素も考慮されます。
ETCの取り外しをプロに依頼する場合、おおよそ3,000円〜5,000円程度の工賃がかかりますが、ETCを付けたままで車を売却すると、この費用を節約でき、売却時のコスト削減に繋がります。
さらに、個人情報はETCカードに記録されているため、カードを抜いておけば、ETC車載器から情報が漏れる心配はありません。
また、ETC付きの車は高速道路での移動がスムーズになるという利点があり、購入者にとっても魅力的なため、需要があります。
その結果、売却時の競争力が高まり、売却がスピーディに進むことが期待できます。
購入者にとって、ETCを別途購入・取り付ける手間が省けることも大きなメリットと言えるでしょう。
ETCを外して売却するメリット
車を売る際にETC車載器を外して別売りすることで、利益を得ることができます。
最新のETC機器は、カーナビと連携できる機能やETC2.0のような新しい規格が含まれているため、このような機種を個別に売ることで得られる利益が大きい場合もあります。
次に購入する予定の車にETCが付いていない場合、現在の車に取り付けられているETCを外し、新しい車に移設することが可能です。
これにより、新しいETCの購入にかかる費用を抑えることができます。
ただし、移設の際には、外す費用だけでなく、取り付け費用や再設定費用も必要です。
これらの費用が合わせて5,000円〜10,000円程度かかることがあるため、全体のコストを考慮して検討することが大切です。
さらに、車種やETCの互換性にも注意が必要で、互換性がない場合には新しい車載器の購入が必要になることがあります。
移設を検討する際には、互換性があるかどうかを確認しておくことが重要です。
ETCを外した方が良い場合とは?
ETC車載器を取り外すことが有益なケースについて、いくつかのパターンをご紹介します。
次の車のETCが装着されている
新車や中古車を購入する際、ETC車載器がすでに取り付けられているケースがあります。
ディーラーや販売店では、オプションやプロモーションで新車や中古車にETCが装備された状態で提供されることがよくあります。
さらに、中古車市場では、前オーナーがETCを取り外さずに売却している車も多く見られます。
そのため、現在の車からETCを取り外して次の車に移設する予定がないことが確認できた場合、ETCを外して個別に売却し、追加の利益を上げることが可能です。
ただし、売却価格はETCの状態や性能、市場動向によって変わるため、事前にリサーチを行い、取り外しコストと売却額のバランスを慎重に判断することが重要です。
ETC車載機に価値がある
新型や最新機能が備わったETCは、価格が高くなることがあります。
例えば、ETC2.0対応の機器は、通常のETC機能に加えて、交通情報や割引サービスが利用可能なため、需要があります。
さらに、カーナビと連携し、料金所の表示や走行ルートの料金計算ができるETCも非常に便利であるため、価値が高くなります。
また使用痕跡が少なく、機能に問題がなく、外観もきれいなど、良好な状態のETCも売却価格が高くなることがあります。
このような条件に該当するETCは、端末を中古品買取店やオンラインオークションなどで個別に売却することで、良い価格で売る可能性があります。
ただし、売却先を選ぶ際には、正確な買取額を示してくれる信頼できる業者を選ぶことが大切です。
取り外す工賃と売却額を確認する
ETCを車から取り外す際には、取り外しに必要な費用と売却金額を事前に把握しておくことが重要です。
まず、取り外しにかかる費用を知るために、自動車修理工場や車関連の専門店に問い合わせます。
工賃は場所や業者によって異なることがあるので、いくつかの業者から見積もりを取得し、適正な価格を調べましょう。
次に、売却できる金額を調査するために、市場価格や需要を調べます。
オークションやフリーマーケットのサイト、中古品を取り扱う店で同じモデルのETC価格を比較することが効果的です。
最後に、取り外し費用と売却金額を総合的に検討し、ETCを外して売ることが適切かどうか判断します。
取り外しにかかる費用や手間を考慮した上で、利益が見込める場合には、ETCを取り外して売却することを検討してみてください。
ETCを外す際の注意点とは?
ETCを外す際にはいくつか注意すべき点があります。
しっかりと注意点を抑え、ETCの取り外しを進めましょう。
自分で外さない
ETCの取り外しには専門知識が必要で、自分で取り外そうとすると、不適切な取り外しによって車両やETCそのものに損傷を与えるリスクがあります。
また、取り付け部品の扱いも繊細であり、誤った方法で取り外すと部品が破損する可能性もあります。
これらのリスクを回避するために、ディーラーや自動車整備工場、車関連の専門店にETC車載器の取り外しを依頼することがおすすめです。
専門業者が行うことで、安全かつ正確な取り外しができ、車両やETC車載器への損傷リスクを最小限に抑えることができます。
口コミや評判、実績など事前に調査し、信頼できる業者に依頼してETCを取り外しましょう。
ETCマイレージの情報を変更しておく
車を売却する際には、個人情報の保護とポイントの引き継ぎをスムーズに行うため、ETCマイレージの情報を変更しておくことが重要です。
ETCのマイレージサービスには個人情報が登録されており、車を売却する前に情報を変更しておかないと、新しいオーナーがその情報にアクセスできてしまう可能性があります。
車を売却する前に、ETCマイレージのウェブサイトやアプリで登録情報を更新し、新しいオーナーに情報が漏れないようにすることが重要です。
また、ETCマイレージのポイントを新しい車や新しいETCカードに引き継ぐことができます。
車を売却する前に情報を変更しておくことで、スムーズにポイントを引き継ぐことが可能になります。
新しい車でも引き続きETCのマイレージサービスを利用し、ポイントを有効活用することができます。
ETCカードを抜いておく
ETCカードには利用者の通行履歴やポイント情報が記録されており、これらの情報が新しいオーナーに渡らないようにするために、ETCカードを抜いておく必要があります。
ETCカードを抜いておくことで、新しいオーナーが誤ってあなたのETCカードで高速道路の料金を支払うといった事態を防ぐことができます。
必ず車両の引き渡し時に、最終チェックとして確認しましょう。
ETCを再度セットアップする方法
ETCの使用には、デバイスの設定が不可欠です。
車を新しく購入し、ETCを移設する際には、新たな手続きを行い、再度セットアップを実施する必要があります。
手続きは個人では行えず、カーディーラーや自動車整備工場、大手カー用品店などの専門店に依頼する必要があります。
ここでは、店舗での手続きの流れや再セットアップの方法について説明します。
手続きの手順は店舗によって異なることがありますが、一般的に以下のような流れで進行します。
- ①必要書類(車検証や本人確認書類など)を持ってETCセットアップ店を訪れる
- ②店舗でセットアップ申請書などの書類を記入
- ③セットアップ手続き料金を支払う
- ④通常、約30分待つことで手続きが完了する
- ⑤エンジンを始動し、音声などの機能が正常か確認する
必要書類はお店によって異なることがあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
また、セットアップの手続き料金もお店によって異なります。
一般的には、3,000円〜5,000円程度と言われていますが、セットアップを依頼するにはお店のHPを確認するか問い合わせを事前に行い、買い取ってくれる料金の確認をしておきましょう。
まとめ
今回は、車を売却する際のETCの取り扱いに関して解説いたしました。
車を売る時、ETCの存在は買取額にプラスになることが多いでしょう。
ETCの種類や取り外し費用、査定額へのプラス要素があるかどうかを検討し、取り外すか、そのままにするかを決定しましょう。
車の売却を検討している方は、是非この記事を参考に、納得のいく車の売却をしていただければと思います。