車を売却したら「まとまったお金」が入ってきますが、そのお金は「確定申告」が必要なのでしょうか?
少ない金額ならともかく、まとまった金額の場合「確定申告しなければいけないんだろうか」と不安になる方も多いでしょう。
ここでは、車を売却すれば確定申告が必要になる場合について解説します。
実際に車を売却した、または売却予定という方はぜひ参考にしてみてください。
基本は車の売却時に確定申告が不要
車を売って利益が出ても多くの場合は「確定申告が不要」です。
なぜなら車の用途、所有者の働き方により「必要か不要かが異なる」ためです。
では確定申告が必要な場合について解説いたします。
そもそも確定申告とは?
確定申告は一言でいえば「納税手続き」です。
年間所得での納税額を計算し、税務署で虚偽がないかを申告します。
税務署で2月15日からの1か月間が申告期間となっています。
一般の会社員は勤務先の会社で年末調整がおこなわれるため、確定申告は不要です。
それに対し「個人事業者やフリーランスなど事業所得のある方」は個人で確定申告をしなければなりません。
確定申告は車を売却した際に、消費税を課税期間内に計算した上で、申告書を作成することが重要です。
そして作成した申告書を税務署へと提出し、納税額を確定させるのです。
サラリーマンの方ならほぼ「不要」
車を売るとなると、多くの場合は、「サラリーマンのマイカー所有」に該当するでしょう。
このケースは「確定申告が不要」なのです。
また、車の一般的な使い方である「日常の移動手段や通勤通学で使う場合」は「非課税扱い」となるのです。
このように非課税扱いの方が大半で、確定申告を受けるケースは少ないと言えます。
確定申告が必要なのは購入時よりも車が高く売れた場合
車を普通(日常的)に使っていても、確定申告が必要になることがあります。
それが「売却価格>買取価格」の場合です。
これは通常の車種ではあまり見られませんが、スポーツカーや生産台数限定車種、または旧車と呼ばれる古い車などの希少車種の場合に起こりうります。
「働き方」で決まる確定申告の要、不要
確定申告が必要なのかは、車を売る人の職業が「会社員(給与所得者)」なのか「自営業」かで変わってきます。
会社員の場合
基本的に会社員は確定申告が不要です。
これは、日常生活の中で車を通勤や通学の手段として使っているなら「生活用動産」とみなされるためです。
生活用動産とは、生活に必要な動産(不動産以外の財産)のことで、車の他には家具、衣服、書籍や貴金属などがあります。
そして生活用動産に該当するのは「30万円以下の価値」とされています。
生活用動産のメリットは「非課税扱いになる」ことであり、国税庁によって定められています。
ちなみに上記の生活用動産をオークションで売却して利益が出ても、課税対象にはなりません。
自営業の場合
自営業者の場合、車の用途が「仕事」となり、車は資産となります。
車にかかる費用が経費となり、減価償却をされて「譲渡所得」となるのです。
個人事業者では「仕事用の車を購入した場合」であり、車を売却していなくても確定申告しなければなりません。
また「法人が車を購入」した場合も売却損益を申告する義務があるのです。
ただし個人事業者でも確定申告が不要のケースもあります。
それは車の使い方が「日常の使用(趣味やレジャー以外)であり仕事とは無関係」の場合です。
この場合、個人事業者も会社員の場合と同様になり、確定申告が不要となります。
確定申告が必要なのは車の用途による
車の「用途がどのようなものであるか」が確定申告の一番のポイントになります。
自家用の移動手段や通勤で使用する場合、趣味やレジャー専用で使う場合、またビジネスで使用する場合など用途はさまざまです。
主に生活で使用するケース
確定申告の必要がないのは、一般家庭の方が日常生活において、主にお買い物や通勤通学で車を使用している場合です。
この場合は非課税扱いとなるため、確定申告の必要はありません。
マイカーを所有する大半の方はこのケースに該当するため、まずは安心してよいでしょう。
主にレジャーで使用するケース
日常の使用ではなく、趣味やレジャーでのみ使用する車ならば、売却時に確定申告が必要になってきます。
この場合は、日常生活では「必要のない」用途に該当するためです。
いわゆる「遊びやレジャー専用の車」とも言えるでしょう。
主に事業で使用するケース
営業車などを売却して利益が出れば、その際は「事業所得」となり、確定申告が必要になってきます。
また個人事業者は、自家用車として使用しても「事業用」とみなされ、売却の利益が所得の扱いになるのです。
結果として所得税の課税対象となり、確定申告が必要になります。
税金の支払いが発生するのは車の売却時?
車を売却すると支払う可能性がある「税金」があります。
この場合の税金は所得税・自動車税・消費税の3種類であり、確定申告で発生するのが「所得税」です。
①所得税について
所得税は「車を売却し、所得で利益が出ればかかってくる」ものであり、「売却した車の価格ー購入時の価格を差し引きしての利益」に課税されます。
対象にならないのが日常生活で車を使用する場合であり、趣味用・レジャー用の車や事業用車を売った場合は支払う必要があります。
そして購入金額よりも売却金額の方が高いならば支払いの必要があり、希少車などを売った場合も該当します。
「譲渡所得」は車を売った際の所得であり、特別控除を使うことができます。
特別控除は50万円あり、これは買取価格と取得費用差が50万円以下ならば所得税が発生しません。
また、課税所得は車の所有期間によっても異なります。
所有期間が5年を超えるか超えないかで決まり、5年を超えれば所得金額の半分が課税所得になります。
②自動車税について
自動車税(軽自動車税)は車を所有している者が支払うべき税金です。
そして「毎年4月1日」の時点で車を所有している人が対象となります。
車の排気量によって金額が決められており、最も安い軽自動車ならば年間1万800円です。
次いで排気量1000ccから500cc毎に金額が変わります。
1500㏄以上から2000㏄以下のクラスならば年間3万9500円となり、上限の6000㏄ならば年間費用は11万1000円にも跳ね上がります。
少しでも節約したい方は3月末までに車を売るようにしましょう。
3月までに車を売却すると、翌年分の自動車税は支払わなくてもよくなるからです。
ただしこの場合「返還分」は一切発生しないことを了承しておいてください。
車の売却時の自動車税で気を付けておきたいのが「4月1日時点の所有者」だということです。
仮に4月1日までに車の売却手続きが済んでいて、既に車が処分されていたとします。
これなら自動車税の支払い義務は無いように思えますが、名義変更が済んでいないと支払いの義務が発生する恐れがあります。
重要な点は「車を売却した際に名義変更も4月1日までに完了する」ことです。3月は買取業者も忙しく、自分では「3月末までに間に合う」と思っていても業者の都合でずれ込んで4月になってしまった…などという場合も想定されます。
また、年度の途中で普通自動車を廃車にした場合は、残り期間分の税金還付を受けることが可能です。
年間で支払った分を12で割り、廃車した月の翌月から3月までの金額が還付金になります。
ちなみに軽自動車は、廃車にしても税金の還付がありませんのでご注意ください。
③消費税について
個人間で車を売る際は、消費税についても知っておきましょう。
消費税は「売り手側」ならあまり気にする必要は無く、「買い手側」が支払うことになっています。
そのため、通常は買取業者が査定する買取価格に含まれています。
しかし事業者が車を売却する時は話が異なり、「売る側」から消費税を納付しなくてはなりません。
その際には、買取価格の内訳である消費税分を受け取った後、消費税として仕分ける必要があります。
確定申告の際は、事前に消費税を合算しておかなければなりません。
しかし、事業者が車を売却しても納税が不要な場合もあり、「前々年度の課税売上高が1000万円以下」の場合が該当します。
意外と盲点になるのでポイントとして覚えておきましょう。
車売却で確定申告をする際の書き方
確定申告書類の書き方を説明する前に再度、確定申告が必要な場合を確認しておきましょう。
- ①売却価格>購入価格である。売却価格が50万円以上高くなった。
- ②売却するのがレジャー用、趣味用または事業用車であった。
この2点がおおむねの条件になります。
また、個人事業主が車を売却した際は「譲渡所得」となります。
これは資産の譲渡で生まれた所得であり、仕事で得た「事業所得」ではありません。
譲渡所得の場合
譲渡所得として申告する際は、確定申告書(所得税、復興特別所得税について)、譲渡所得の内訳書が必要になります。
譲渡所得は以下の式で求められます。
- 「譲渡所得の金額」=「譲渡価額」ー(取得費+譲渡費用)ー50万円
取得費は、購入代金以外に手数料、設備費、改良費を含みます。
そして減価償却費を控除した金額です。
譲渡費用は、売却のために直接かかった費用になります。
減価償却費の計算
まずは減価償却費を明確にしないと、譲渡所得の算出は出来ません。
個人事業主の場合は定額法が一般的となっています。
- 減価償却費=取得金額 × 定額法の償却率 で求めます。
耐用年数によって償却率が決まっており、1.0を耐用年数で割った値が償却率です。
(耐用年数が5年ならば1÷5で償却率は0.2、10年ならば償却率は0.1となります)
課税売上高と税金の計算
課税売上高とは、消費税の課税対象になる取引の売上高です。
売却時の消費税を申告する際には、所得は課税売上高として処理することになります。
譲渡所得の内訳書の記載
自動車の売却価格が「譲渡価格」であり、取得費に譲渡費用を足した金額が「必要経費」として計上されます。
- 「譲渡所得の金額」=「譲渡価額」ー(取得費+譲渡費用)ー50万円 に当てはめます。
その値を「確定申告書B」の必要な個所へと記入してゆきましょう。
事業所得の場合
「事業所得」になるのは、個人事業主が商品として車を売買した場合になり、この際は「譲渡所得」ではなく「事業所得」となります。
簿価との差額を売却額として計上
売却の際に、簿価と売却額の差額を「売却益」として計上します。
簿価<売却額 の場合は差額が「売却益」となり利益になります。
簿価>売却額 の場合はマイナスとなるので「売却損」として計上することになります。
青色申告決算書と収支内訳書の記載
事業所得として申告する際は、確定申告書(所得税、復興特別所得税について)、青色申告決算書、収支内訳書の書類に記入する必要があります。
まとめ
今回は車を売却した際の確定申告について解説いたしました。
総括すると「一般の自家用車として使用する場合、確定申告は不要」と言えます。
そのため趣味や事業用でない限り、車の売却時に確定申告をすることはまずありません。
ただし希少車の場合など、売却価格が買取価格を上回る際は注意しましょう。
何よりも申告漏れの無いことが重要であり、愛車を売却する場合は見積り価格を下調べしておきましょう。