車を売却したい時、自動車買取業者に自動車の価値を査定してもらい、できるだけ高い価格で買い取ってもらいたいと思いますよね。
とはいえ、この査定サービスは特に誰でもできるわけではありません。
中古車の査定を行うためには、「中古自動車査定士」と呼ばれる資格を保有している必要があるのです。
では、「 中古車査定士」はどのような業務を行っているのでしょうか。
本記事では、中古車査定士になる方法や査定時に常に注意してみるポイントなども含めてご紹介します。
これから中古車査定士として活躍したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
中古車査定士とは？仕事内容や受験に関するQ &Aを紹介
中古車査定士の仕事内容とはどのようなものか。
受験するために条件はあるのかなどの疑問点も含めて、ここから一つひとつ紹介していきます。
◯中古車査定士とは？
中古車査定士の主な仕事は、買取・交換される中古車の価値を正確に判断することです。
これにより、取引におけるごまかしの査定を最小限に抑えられます。
近年、日本では社会の変化に伴い、車を買い替える方が増え、商業的な査定依頼も拡大しています。
中古車の価格は、年式、走行距離、整備記録などの考慮事項に基づいており、車の状態、カスタマイズ、メーカーなど、外国車、国産車、クラシックカーなど、他の要素が絡んでくると複雑になってきました。
そのため、信頼できる中古車査定士になるには、専門的な知識が必要となります。
◯中古車査定士は2種類
中古車査定士の資格には、小型自動車査定士と大型自動車査定士の2種類があります。
どちらの査定士も日本自動車査定協会が認定する資格ですが、認定を受けずに査定を行うことも可能です。
この資格を取得することで、基本的な査定方法を熟知し、より確実な査定を行うことができるようになり、様々な車種の査定を請け負うことができるようになるでしょう。
- ・専用機器による部品評価
- ・車の状態・年式・走行距離による価値への影響
など、車検の方法なども学べます。
さらに、修理費用の特定や見積もり、減価償却の完全な理解など、評価プロセスのあらゆる側面に関する深い知識を身につけることができる資格です。
◯受験資格
中古車の査定を行うために必要な資格として、査定士があります。
この資格を取得するためには、日本査定協会が主催する3日間の講習を受講し、試験に合格し、正式に登録することが必要です。
また、受験資格には以下の資格も必要となってきます。
- ・運転免許証保有
- ・小型車査定士は普通自動車免許以上
- ・大型自動車査定士は、大型第一種運転免許以上
- ・自動車販売または整備の実務経験が6ヶ月以上
- ・3日間の所定の講習を修了していること
このように、自身が持っている資格を確認し受験に挑みましょう。
◯試験内容
中古自動車査定士は、筆記試験と実技試験の2つの試験を受けなければなりません。
筆記試験の内容は、以下の3つになります。
- ・中古自動車査定制度と基準
- ・自動車の構造・機能・取扱い
- ・保安基準等関係法令
査定士や整備士の資格をお持ちの方は、試験の一部が免除される場合があります。
実技試験では、査定技能を評価します。
◯試験日や費用
小型査定士は、6月中旬と12月中旬の年2回、試験を実施します。
申し込み期間は、6月中旬の試験が4月上旬から下旬、12月中旬の試験が9月上旬から10月中旬です。
大型査定士は年1回の試験で、4月上旬から下旬頃に申し込みを受け付け、6月中旬に試験を実施します。
受験料は、小型査定士が18,150円、大型査定士が18,975円で、願書提出の際に支払う必要があります。
参考：一般財団法人「日本自動車査協会 東京都支所」
中古車査定士の難易度
中古車査定士になるための試験の合格率は高めとなっています。
条件として、試験を受ける前に協会が実施する3日間の講習を受ける必要があります。
一般的に、講習をしっかり受講した方は、毎年80％〜90％の合格率で試験に合格しています。
◯中古車査定士の合格率
小型自動車査定士試験は、2018年の合格率が79％、2020年は72％に低下しています。
大型車試験の合格率は、2018年は95.4％、2020年は91.8％でした。
合格するためには、所定の講習を受け、自動車販売や整備に関連する実務経験を積む必要があり、免許は3年ごとに技能向上講習を受講し、更新する必要があります。
◯試験対策と準備
中古自動車査定士技能検定試験は複雑なものではなく、特別な準備をする必要はありません。
日本自動車査定協会の3日間の講習会に参加したことがあれば、試験内容を理解するのに十分でしょう。
実戦的な専門知識が問われる試験なので、日常的な実務での経験が実力として非常に有効です。
試験対策は過去問を解くことです。
より良い点数で合格するためにも勉強は念入りに行いましょう。
◯中古車査定士の仕事内容
中古車査定士は、徹底的な評価に基づいて車の市場価値を決定する役割を担っています。
メーカー、車種、年式、走行距離、内装、外装、エンジンなどを調べます。
ボディに目に見える損傷がないか、エンジンやその部品に細心の注意を払い、さまざまな車種やメカニズムに精通し、隠れた故障を発見しなければなりません。
また、修理の必要性を考慮し、登録書類や整備記録など、車両の履歴や付随する書類も確認します。
終了後、車の状態と推定価格の報告書が提出されます。
◯メインはディーラーと買取業者の橋渡し
日本では中古車が大量に流入しているため、個人が車を処分する際には買い手と売り手が適切な価格を判断する必要があり、事業主が古い自動車を商品として調達する際には下取り価格を正確に算出する必要があります。
中古車査定制度は、経済産業省と国土交通省が運営しており、「中古自動車査定士」という免許を持った資格保持者が、中古車を適正に査定することが認められています。
同じ車でも年式や走行距離などによって価値が変動するため、専門家は自動車に関する豊富な専門知識を持ち、最新の中古車情報を的確に把握する必要があるでしょう。
◯中古車査定士の年収
中古車販売店やリース会社の求人の給与は一般的に高く、インセンティブなどで10％程度アップすることもあります。
これは、自動車の寿命が伸びたことや、個人の嗜好やライフスタイルの変化により買い替えられるようになり、中古車の需要が高まりつつあるためです。
そのため、中古車査定士のニーズも人気上昇中です。
また、査定に資格は必要ありませんが、査定士が重要視される理由は、査定がお客さまに信頼されお店の評判を上げるからです。
現在、中古車査定を利用している中古車販売会社やディーラーは約9,000社あり、今後も査定士の需要は高まることが予想されます。
◯中古車査定士の将来性
前述にも説明した通り、中古車査定士の需要は高くなってきました。
しかし、選ばれる中古車査定士になるためには、高い資質を持ち経験豊富な人材が求められるでしょう。
なぜなら、最近の市場は多様化しており、車の組み合わせが均質ではないからです。
将来的には、クラシックカー、ハイブリッドカー、電気自動車など、正しく評価しなければならない車種も増えてきます。
このように多種多様な車を正しく評価するためには、幅広い知識と豊富なノウハウが不可欠です。
中古車査定で成功するためには、この分野での努力が必須となります。
中古車査定士の主な就職先
中古車査定士は、中古車販売店や買取店のスタッフだけでなく、カーディーラーの営業担当者やレンタカー会社、その他関連する小売店の担当者にとっても必要不可欠な資格です。
そこでここからは中古車査定士の主な就職先を紹介していきます。
◯ディーラー
中古車査定士の就職先として、ディーラーが挙げられます。
ディーラーは下取り手続きを査定士に任せることで、顧客が査定や下取り、新車購入のために複数のディーラーを回る時間と手間を省くことができるからです。
◯中古車販売店や買取店、レンタル・リース店など
中古車査定士の就職先として、買取店やリース会社も需要があります。
昨今、新車の価格高騰により中古車へのニーズが高まっているため、中古車を販売する買取店では中古車査定士は欠かせない存在になりました。
中古車の査定は複雑で、信頼性の高い結果を出すためには、高度な訓練を受けた専門家が必要です。
自動車業界では、効果的で正確な査定を保証するために、経験豊富な中古車査定士を利用するケースがますます増えてくるでしょう。
中古車査定士が査定時にチェックする項目
中古車査定士が車を査定する際、車種名、所有者やユーザー名、認証方法、走行距離、外装と内装などを共通のチェック項目としています。
ここでは、特に評価方法が複雑な外装と内装の説明をしていきます。
◯外装
外装では、ボディの色、傷、へこみ、ナンバー、エアロパーツ、ガラスの状態、ボンネットや天井のパーツ、サンルーフやムーンルーフの作動、ドアや窓の作動、テレビやラジオのアンテナ、ヘッドライトやテールランプなどの外観を調べます。
さらに、エンジン回り、性能、車検の通りやすさ、修理歴など、車の機能を評価します。最後に、査定額から見た車のボディカラーの人気度を考慮します。
◯内装
内装を査定する際には、汚れ、車内の臭い、喫煙による変色、シートの状態、トランクスペース、スピーカー、ナビゲーションシステム、ハンドルやメーター、エアバッグ、スペアタイヤ、その他付属品などを確認します。
特に内装の汚れや変色は、その車の査定額を大きく下げてしまう可能性があることを覚えておきましょう。
名前が似ている【中古自動車販売士】とは？
一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会（JU）認定の中古車販売士は、自動車の鑑定・規制に関する専門教育を受け、試験に合格した者に与えられる資格です。
さまざまな車の特徴や使い勝手を熟知し、お客さまのニーズやライフスタイルに合った最適な車を提案する資格です。
◯中古車査定士は査定のための資格
中古車査定士の資格を取得するためには、日本自動車鑑定協会が実施する試験を受け、合格する必要があります。
したがって、中古車の査定には欠かせない前提条件となります。
◯中古自動車販売士は中古車販売のための資格
お客様は通常、価格、品質、ライフスタイルを考慮して車を選びます。
中古車販売士は、豊富な車種を取り揃え、お客様にとって最適な車を探し出すことができる専門知識を持っています。
このように販売士は車の状態や費用、その他お客様が気になる点などを細かく伝える役割を持っています。
まとめ
中古車査定士は国家資格ではありません。
しかし、公的な資格を持っていることは、業者と利用者の双方にとって信頼性を高めることになります。
なぜなら、中古車に適正な価格をつけることができ、それによって高い技術力を示すことができるからです。
したがって、中古車査定士の資格は、査定を行う査定士だけでなく、営業担当者にもメリットがあります。
自動車業界にとって中古車査定士の資格取得は転職やキャリアアップのチャンスともなるので、チャレンジしてみましょう。
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