お手持ちの車を手放そうと考えた時に、まず気になるのが査定金額です。
しかし、買取業者に提示してもらった査定額が妥当な価格なのかどうかは、専門業者でなければわかりません。
また、査定金額を提示されたときに、思っている金額よりも低いと「安く見積もられているのではないか」と疑ってしまうかもしれません。
そこで本記事では、実際に中古車の査定額はどのように決められているのかや、少しでも高く売るための方法、実際の査定金額の仕組みなどをご紹介していきます。
これから中古車の売却を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
車の査定基準は決まっている?
車の査定基準は、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)と呼ばれる団体が発行している「中古車査定基準」をベースに決められています。
JAAIは創立50年以上の歴史がある機関で、中古車査定の制度制定や、査定士の認定・育成などを行うだけでなく、中古車の査定に関する制度制定に尽力しています。
そのため、ほぼすべての買取業者や中古車販売業者は、JAAIと関わりを持っていると言えるでしょう。
「中古車査定基準」では、車のコンディションについてのチェック項目が細かく定められており、専用の「カーチェックシート」に点数を記入していきます。
このチェック項目は非常に細かく分類されています。例えばボディに傷が付いていたとしても、その傷の大きさごとに点数を記入するようになっています。
また、JAAIは「加減点基準ハンドブック」などのマニュアルも発行しており、買取業者は、それをもとに独自の査定基準を設けて査定を行っています。
そう考えると、査定する項目やチェック方法は「中古車査定基準」によって定められているため、業者によって査定時の車の評価が大きく変わることは少ないと言えるでしょう。
ちなみにJAAIに直接車を持って行くと、有料で「カーチェックシート」を用いて査定をしてくれます。
中古車の基本的な査定基準
JAAIが定める査定基準は、以下の「標準状態の車」と査定する車を比較し、加点・減点を行います。
- 1.外装・内装は無傷である
- 2.エンジン・足回りは走行に支障なく良好であること
- 3.車検の残り月数は3ヵ月以内とする
- 4.走行キロ数は標準走行キロとする
- 5.タイヤの残り溝は1.6mm(スリップサイン)以上あること
- 6.その他、事故による修復歴、損傷減価要因、改造工作のないこと
具体的に「標準状態の車」から比べてどのように評価されるのか見ていきましょう。
1.外装・内装の状態
車の状態を確認する時に最も重視されるのが外装・内装の状態です。視覚的な情報は車全体の印象を大きく左右する要素であるため、新車に近い無傷の状態が最も評価が高くなります。
とはいえ、走行中の飛び石や施錠時の鍵穴周辺に付いた傷など、乗車中に避けられない傷があるのも事実です。
凹みがあると修理費用がかかる分減点額が大きくなりますが、程度の軽い傷であれば大きな減額はなりません。
また、内装に関しては、シートの汚れや破れなども減点対象ですが、車内の臭いや色褪せも評価されるため注意が必要です。
傷がある車の買取についてはこちら
2.エンジン・足回りは走行に支障がないか
外装・内装の状態同様に重視されるのが、エンジンや足回りなどの走行に関わる機構の状態です。
エンジン自体に大きなトラブルを抱えていると、査定額が0円になることも少なくありません。
査定時はエンジン周辺からのオイル漏れがないかや、プラグの焼け具合なども確認するため、常日頃から点検・メンテナンスをしっかり行っておくようにしましょう。
3.車検の残り月数は3か月以内であること
JAAIでは車検の残り月数が3か月以内であるものが標準状態とされているため、4か月以上残っていると、加点される可能性があります。
反対に車検の残り月数が少なすぎると減点対象になると思うかもしれませんが、実際のところは、車検が切れている車でもしっかり買取ってくれる買取業者がほとんどです。
売却時は車検の残月は確認されますが、大きく査定に響くことはありません。
4.走行キロは標準走行キロ以内であるか
JAAIは、1年あたりの標準走行キロを以下のように定めています。
- ・普通車・・・1万km
- ・軽自動車・・・8,000km
例えば初年度登録から10年経過した車だと標準走行キロは10万kmとなるため、10万km以上走行した車は査定額が大きく下がる可能性があります。
走行距離は車買取にどのくらい影響を与えるかについてはこちら
5.タイヤの溝は1.6mm以上あること
1番の消耗品であるタイヤは、残り溝の多さや劣化具合によって査定額に影響を与えます。
JAAIでは、タイヤの残り溝が1.6mm以上である状態が標準状態とされています。
この1.6mmという数字は、タイヤの使用限度である「スリップサイン」が見えるタイミングとなります。
「スリップサイン」が見えていると車検に通らないのはもちろん、公道を走行することも法律で禁止されています。
スリップサインが見えているタイヤを装着している車は、販売時にタイヤを交換しなければいけません。
そのため、タイヤの残り溝が1.6mm以下の車は大きな減点対象となるでしょう。
6.修復歴や改造工作がないか
修復歴や改造歴がある車は故障のリスクが高いため、査定時に大きな減点となります。
特に骨格部分に修復歴がある車は市場での需要も著しく低下するため、査定額が大きく下がる可能性があります。
また、改造に関してはマフラーやエアロパーツなどの交換であれば、取り外したパーツも一緒に提出すれば大きな減点となることはほとんどありません。
ただし、好みが分かれるパーツを装着していたり、もとに戻せない改造をしていたりすると、大きく減点されることもあります。
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車の査定基準以外での高く売るポイントとは
先ほどご紹介した査定基準は、あくまでJAAIが定めた車体の評価となります。
車をより高く売るためには、実際に市場でのニーズや販売時の状態など、車体の評価以外に関わる部分も抑えておかなければいけません。
ここでは、査定基準以外で車を高く売るポイントについてもいくつかご紹介していきます。
◯車種・ボディカラー・年式
中古車市場では、買い手がどれだけ存在しているかによって販売額が決まるため、市場で人気が高い車種であれば、それだけで自ずと査定額は高くなります。
また、人気のあるボディカラーも同様に、査定に大きなプラスになります。
一般的に人気のあるカラーはホワイトやブラック、シルバー系で、反対にイエローやレッドなど奇抜なカラーは人気がない傾向があります。
ただし、スバルのブルーやマツダのレッドなど、ブランドカラーを象徴するものは人気が高いため、プラス査定となることもあります。
ほかにも、年式が新しいものは、やはり査定額が高くなります。
特に新型が登場したり、モデルチェンジが行われたりすると、以前まで現行モデルであった車は型落ちと判断され、大きく査定額が下がります。
現行モデルの車を売却しようと考えたら、まずはその車がモデルチェンジが行われるかどうかを調べ、なるべくモデルチェンジ前に売るようにしましょう。
◯車の売却時期
車は需要がある時期に売ると、それだけで査定額が大きく上がる可能性があります。
その時期は、具体的に以下の月となります。
- ・1月〜3月
- ・9月
1月〜3月は就職や転勤などで新生活が始まる時期となるため、車の需要が最も高くなります。
また、3月は中古車業者の決算月であるため、その前に多くの車を売ろうと、買取業者は中古車の仕入れを強化します。
9月は上半期の決算月であるため、同様に中古車業者は決算前に目標を達成しようとするため、中古車の需要が高まります。
すぐに車を売らなければいけない状況でなければ、上記の売却時期を狙って査定に出すのも良いでしょう。
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◯売却前の洗車
査定基準には車が「洗車されているか」どうかの項目はありません。
しかし洗車がされている車は、査定士からの印象が良いのは間違いないでしょう。
綺麗な車は日頃からのメンテナンスがしっかりされている印象を与え、査定時にプラスに作用する可能性があります。
わざわざワックス掛けをしたり、汚れている部品を交換したりする必要はありませんが、目に見える範囲で気になる部分は綺麗にしておくことをおすすめします。
最終的に判断をするのは人間であることを忘れないようにしましょう。
◯整備記録簿・取扱説明書を用意しておく
査定時に整備記録簿や取扱説明書も提出すると評価に繋がります。
整備記録簿はその車のメンテナンス情報や部品交換の履歴が記載されているため、査定士は車の状態をより細かく判断することができます。
また、取扱説明書があれば、次の購入者が安全に車を利用でき、販売業者も標準状態が確認できます。
査定時には整備記録簿や取扱説明書もセットで提出できるようにしておきましょう。
◯一括査定サイトを利用する
車の買取金額は買取業者によって異なるため、車を高く売ろうと思ったら、なるべく多くの買取業者から見積もりを取り、そのなかから少しでも高く買取ってくれる業者を選ぶ必要があります。
ただし、お住まいの地域に買取業者が少なかったり、複数の買取業者に見積もりを取りに行く時間がなかったりする方もいるかもしれません。
そんな時は、一括査定サイトを利用することをおすすめします。
一括査定サイトは車の情報を入力すれば、1度に複数の買取業者から見積もりを取ることができます。
直接査定士が実車を確認するわけではないため、おおよその見積もり金額までしかわかりませんが、高く買取ってくれる業者を見極めることは可能です。
車を高く買取してもらうコツについてはこちら
査定基準から買取価格はどう決まるの?
ここでは、中古車の買取価格はどのようにして決められるのかについてご紹介していきます。
買取価格は、まず、「査定基準価格(査定協会が各所ごとに市場実績として設定している価格)」に、買取業者が設定した「標準整備費」「標準諸掛」「特別調整」を含んだ「基本価格」を設定します。
そして「基本価格」から査定基準で評価した加減点を考慮し、最終的な「買取価格」が決められます。
査定金額は買取業者によって大きな幅があります
先ほどご紹介したように、各業者が設定する「標準整備費」「標準諸掛」「特別調整」や、加減点による変動金額は各社が自由に決められるため、業者によって買取金額の幅が生まれます。
また、それ以外にも次の理由も考えられます。
◯買取業者の在庫状況
中古車の販売も行っている買取業者であれば、在庫の状況によっても価格が変動します。
たとえば人気車種であっても、抱えている在庫の台数が多いと、買取金額は低めの傾向となります。
また、全国的に展開している買取業者であれば店間の在庫移動ができるため、売りたい車が店舗に展示していないものであっても、必ずしもその車が高く売れるとは限りません。
◯買取業者の地域
買取業者の地域によっても買取金額に大きな差が生まれます。
たとえば4駆の車は北海道や東北など積雪が多い地域では需要が多いため、買取価格が高めの傾向があります。
反対に九州や沖縄などでは需要が少ないため、買取価格は低くなります。
◯買取業者の得意分野
買取業者が海外への流通ルートを持っているのであれば、事故車や多走行車、低年式車であっても、ある程度の金額で買取ってくれるでしょう。
また、スポーツカー専門店や、ハイエース専門店など、ジャンルや車種に得意分野を持っている業者であれば、その車を売却する時にほかの買取業者よりも買取価格が高くなる可能性が高くなります。
まとめ
中古車の査定額は、基本的にJAAIが定めた査定基準をもとに決められます。
ただし、実際の買取価格は車の整備費用や市場での需要、販売店の在庫状況などの影響を受けるため、一律になることはありません。
少しでも高く車を売却したいと思ったら、一括査定サイトを利用し、なるべく多くの業者の中から高く買取ってくれる業者を選ぶのがポイントです。
実際に売却をする前には、今回ご紹介した査定以外にも高く売るポイントも、ぜひ参考にしてみてください。