中古車を手放すときに多くの方が中古車買取業者を利用することでしょう。
しかし、中古車買取業者に愛車の買取を依頼した方の中には、詐欺に遭ってしまう方もいます。
では、中古車買取の際によく起こる詐欺とはどんなものがあるのでしょうか?
また、中古車買取詐欺に遭わないためにはどうすれば良いのでしょうか?
そこで今回は、年間に起きている中古車買取詐欺の数、よく起こる詐欺や詐欺に遭わないための注意点、相談先について解説します。
中古車買取を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
中古車買取で年間どのくらいの詐欺が起きてるの?
中古車買取に関する詐欺の件数や増えている理由について解説します。
中古車買取詐欺による相談件数
国民生活センターの「PIO-NETにみる中古車の売却に関する相談件数の推移」によると、2021年の中古車買取詐欺による相談件数は、1519件でした。
中古車買取詐欺に遭った方が全員相談しているとは限らないため、実際にはこれ以上に多いことが予想されます。
詐欺件数における過去との比較
中古車買取の相談件数は2018年で1151件、2019年で1229件、2020年で1211件、2021年には1519件を記録しています。
多少上下しているものの、中古車買取詐欺が年々増えていることがわかるでしょう。
中古車買取詐欺が増えている理由
中古車買取詐欺が増えている理由は、2つ考えられます。1つ目は新車販売台数の減少、2つ目は契約者の高齢化です。
では、それぞれ解説します。
新車販売台数の減少
日本自動車販売協会連合会によると、新車販売台数が2019年は約232万台であったのに対して、2022年には約181万台へと激減しています。
新車販売台数の減少に伴い、中古車の買取を強化する業者が増えてきました。
中古車買取件数が多くなることで、中古車買取の詐欺の件数も上昇しているのです。
契約者の高齢化
内閣府による「運転免許保有者数の推移」によると、国内の高齢化率が上昇するとともに、年々高齢者の運転免許保有者数も上昇しています。
免許を返納するにあたって中古車を売却する方の年齢も上がっているのです。
つまり、中古車買取を契約する方が高齢化しているということになります。
高齢者は中古車買取だけに限らず、詐欺のターゲットとして狙われやすいため、中古車買取詐欺も増えているのでしょう。
中古車買取でよく起こる詐欺
中古車買取でよく起こる詐欺や、実際に起きた詐欺の手口をご紹介いたします。
不当なキャンセル料請求
中古車買取では、不当なキャンセル料を請求するという詐欺がよく報告されています。
契約書にクーリングオフ不可と記載され、キャンセル料についても契約書などで告知されていれば詐欺とはみとめられません。
しかし、契約書に記載されておらず、キャンセル料についても説明がなかった場合、詐欺である可能性が高いでしょう。
車や必要書類を引き渡す前であれば無料キャンセルできる買取業者もありますが、悪徳業者が無料でキャンセルに応じることはまずありません。
虚偽の説明による強引な契約
虚偽の説明によって強引に契約させる詐欺もよく起こる詐欺の1つです。
実際はクーリングオフができないにも関わらず、クーリングオフできると嘘をつき、強引に契約をさせるケースがあります。
契約書にクーリングオフができないと記載されているにも関わらず、口頭でクーリングオフできると説明している場合などです。
悪徳業者の場合、一刻も早く車を奪って逃げたいという気持ちから契約を急ぐ傾向にあります。
例えば、「今すぐ決めてくれた場合、数万円上乗せしますよ」などと嘘をつき、契約をするまで返してくれないというパターンです。
元々上乗せ金など払う気はないため、簡単に上乗せする話を持ち出してくるでしょう。
そうすると、どうしても魅力的な条件に見えてきて、その場で契約してしまうというケースが数多く存在します。
すぐに契約することを迫ってきたら、悪徳業者つまり詐欺である可能性が高いといえるでしょう。
契約後の減額
契約当日、元々提示されていた査定金額よりも減額されるという詐欺被害も数多く報告されています。
再査定したら事故歴があることがわかったため、査定額は半額になると、嘘をついて査定金額を下げる詐欺です。
ずっと乗ってきた車なら嘘だとすぐに分かりますが、中古車の場合は売却元が事故歴があることを告げていなかったということも考えられます。
そのため、詐欺だと見分けるのは難しく、詐欺に遭ってしまう方が多いのかもしれません。
また、口頭で告げられていた査定金額よりも売買契約書に記載された買取金額がはるかに低いということもあります。
車譲渡後の未入金
中古車買取業者と売主が契約を交わし、必要書類や車両を引き渡してから、一般的に1週間以内に買取金額が振り込まれます。
しかし、支払い期日を過ぎてもいつまで経っても買取金額が入金がされないという詐欺被害も良く報告されています。
中には、未入金であることを買取業者に電話やメールをしても連絡がつかない場合や、直接買取業者のもとに伺うと倒産していたという実例もあります。
支払い期日に振り込まれなかったら、車の持ち逃げを疑いましょう。
中古車買取詐欺に遭わないための注意点
中古車買取で詐欺に遭わないためには、どうしたら良いのか説明していきます。
あらかじめ買取相場を調べておく
中古車詐欺に遭わないための方法の1つは、愛車の査定をしてもらう前から、買取相場を調べておくことです。
査定時に愛車の買取相場を知っておかないと、安く買い取られてしまう恐れがあります。
査定時に愛車の買取相場が分かっていないと、安く見積もられても、相場がこれくらいなのかと納得してしまうかもしれません。
契約書をよく確認する
中古車買取詐欺を避ける方法の1つは、契約書をよく確認することです.。
中古車買取業者の中には、契約書に書かれている内容と口頭で説明する内容が異なる場合があります。
口頭で違う説明をされていても、契約書に書かれていた場合、最終的な契約は契約書が優先されます。
特にしっかりと目を通しておいた方が良い内容は、以下の3点です。
- ・契約解除の可否
- ・車の引き渡し時期
- ・買取金額の振込時期
契約解除の可否
契約解除できるかどうか、および違約金については、しっかりと確認しておく必要があります。
口頭で契約解除ができると説明しても、契約書にはクーリングオフできないと記載されている場合や、契約解除するつもりはないと思っていても、やむを得ず契約解除しなければならない場合もあるかもしれません。
そういった事態にならないようにするために、契約解除の可否と違約金の金額についてはしっかりと確認しておきましょう。
車の引き渡し時期
きちんと目を通すべき項目として、車を買取業者に引き渡す時期があげられます。
買取業者のなかには、即日車を引き渡さなければならない業者もあるでしょう。
また、売主の都合で引渡し時期がずれると、違約金が発生すると記載されていることもあります。
そのため、いつ引き渡すかといったことや、引き渡し日が延期された場合の違約金についてきちんと確認しておきましょう。
買取金額の振込時期
買取金額の振込時期もきちんと確認しておくべき項目の1つです。
売買契約後、いつまで経っても売却金額が支払われないという事態にならないために、振込時期は把握しておく必要があります。
また、一括または分割のどちらで支払われるかも確認しておきましょう。
名義変更までの期間
名義変更までの期間については、きちんとチェックしておかなければなりません。
買取業者は、買い取った車の名義変更をしなければなりません。
名義変更は7日以内に行われるのが一般的です。
名義変更が行われていないと、年度末の場合4月1日を跨ぐと自動車税納付書が自分のところに届いたり、名義変更が行われない間にその車で起こした違反の責任を負わなければならない恐れもあります。
そうならないためにも、名義変更までの期間については、しっかりと確認しておきましょう。
売却金額を受け取る前に全ての書類や車を渡さない
車を持ち逃げされる詐欺の予防策として、売却金額を受け取る前に全ての書類や車を渡さない方法が挙げられます。
つまり、すべての書類や車を引き渡す条件として、売却金額を受け取るということです。
もしくは、名義変更に必要な書類は、売却金額受け取り後に渡すのも良いでしょう。
相手が車を持ち逃げできないように、対策する必要があります。
出張買取の場合は古物商許可証を見せてもらう
中古車買取詐欺を見抜くポイントの1つは、古物商許可証を提示してもらうことです。
中古車買取業者は、出張買取を行う際に「古物商許可証」か「行商従業者証」を携帯する必要があります。
そのため、出張買取に来たにもかかわらず、古物商許可証や行商従事者証を見せるのを渋った場合や忘れてきたなどといった場合は、詐欺を疑った方が良いでしょう。
中古車買取詐欺に遭った時の相談先
中古車買取詐欺に遭った時は、自分一人で抱え込まず、きちんと周囲に相談するようにしましょう。
それでは中古車詐欺にあった場合の相談先をご紹介します。
JPUC
JPUCとは一般社団法人日本自動車購入協会の車売却消費者相談室のことです。
実際にJPUCが承っている相談内容は、以下のようなものがあります。
- ・契約解除において起こる事案
- ・一括査定などのサイトからのしつこい営業
- ・契約後の減額交渉
- ・買取金額が振り込まれない
JPUCは平日9時から17時まで電話対応にて相談を承っています。
電話番号「0120-93-4595」からお問い合わせいただけます。
ただ、あくまで相談窓口であり、査定申込のキャンセルや個人情報の削除などはできないということには注意しましょう。
国民生活センター
国民生活センターとは、さまざまな商品やサービスに対しての苦情や問い合わせなどに対し、公正な立場で処理している相談窓口です。
国民生活センターによる消費生活相談は、平日11時から13時まで電話にて承っています。
また、消費者ホットラインでは土日・祝日に利用できる消費生活相談窓口を案内してくれます。
土日や祝日の受付時間は10時から16時までです。
JFBA
JFBAとは、日本弁護士連合会のことです。
JFBAはJPUCや国民生活センターと違い、対面での対応が可能なので、より安心感を持って相談できるでしょう。
特に車の持ち逃げや契約解除に関する高額な違約金請求は、JFBAに相談するのがおすすめです。
弁護士は法律や過去の裁判例、過去に起きた同様の事件の解決策からアドバイスができます。
対面で対応できるという安心感にくわえて、弁護士ならではのアプローチの仕方が魅力です。
正しい中古車買取手順は?
中古車買取詐欺に遭わないために、正しい中古車買取手順を確認しておきましょう。
1.買取査定
まずは、中古車買取業者に愛車を買取査定してもらいます。
中古車買取業者に買取を依頼するには、依頼先によって電話やメール、持ち込みや出張査定対応など依頼方法や査定方法が異なるので気をつけましょう。
2.交渉
中古車買取業者による査定後は価格の交渉にうつります。
最初から納得のいく金額を提示してくれる買取業者もあれば、そうではない場合もあります。
納得した金額で交渉成立させましょう。
車を高額買取してもらうための交渉術についてはこちら
中古車を高価買取してもらうコツについてはこちら
3.書類作成
査定金額が決まったら売却の手続きのための書類作成にうつります。
普通自動車と軽自動車で、必要となる書類が異なるので注意してください。
店舗に行き書類の確認、署名、押印をして、売却手続きは完了となります。
4.車の引き渡し
売却手続き完了後、車の引き渡しとなります。
車を引き渡す際は、忘れ物やカーナビの登録情報の削除に気をつけましょう。
5.入金
車を引き渡したら、入金を待ちます。
契約時に現金で受け取れる買取業者もありますが、一般的には振込で買取金額を支払う業者が多いでしょう。
入金が確認できれば、愛車の売却は完了となります。