車の査定額には車種の価値だけでなく、車の状態も影響します。
特に悩む方が多いのは、車に付いた傷です。
車両の見栄えに悪影響を与えるために「修理代がかかるからなおすか迷う」と思う方も多いでしょう。
この記事では、車の傷が査定額にどう影響を与えるのかを具体的に詳しく解説します。
傷がある車で査定額の目安を知りたい時にお役立てください。
車の買取査定基準とは?
まずは、車の査定基準を詳しく解説します。
業者によって査定額に違いはあるものの、判断基準はどの業者もおおよそ同じです。
◯車の査定基準
どの業者も、車の情報・外装・内装・年式や走行距離・タイヤの溝・改造・機能面・付属品の8つが査定基準となっています。
判断基準は同じでも査定額に違いが出るのは、各業者によって販売ルートやコストが異なるためです。
ここからは、各ポイントをさらに具体的に解説します。
車の情報
車の査定額は、需要に左右されます。
そのため、同じ車種でもグレードが高いとプラス査定になりやすいです。
また、人気のボディカラーもプラス査定になります。
逆に不人気だったり奇抜すぎるボディカラーだと、査定額は下がりやすいです。
外装
買取業者は、ボディ全体に傷やへこみがないかを必ず確認します。
そして、傷の大きさや目立ち方次第ではマイナス査定になる場合が多いです。
一般的には1cm未満の小さな傷であれば、ほとんど影響はありません。
内装
内装で見るのは、座席やフロアマットといった車内全体の状態です。
シミや汚れ、臭いを確認します。
査定額に直接影響を与えるとは限りませんが、査定前に掃除をして車内を綺麗にしておくと業者に好印象になるでしょう。
そして、内装で特に注意したいのは臭いです。
買取業者によって判断は異なりますが、喫煙車と非喫煙車を同じ条件下で買取金額を比較すると5万円の差が出たケースがあります。
タバコの臭いの他にも、ペットの臭いや飲食物の臭いにも注意しましょう。
年式・走行距離
年式と走行距離は、トータルバランスを査定されます。
なぜなら、年式が新しくても走行距離が多かったり走行距離が少なくても年式が古かったりすると安全性や需要といった面で不人気になるためです。
車両の年式とは、その車両がはじめて登録された年を指します。
一般的には登録された年から3年・5年を境に、車両の価値が下がる傾向です。
そして、走行距離は1年あたり普通車で1万km・軽自動車で8,000kmが基準となります。
年間走行距離を大きく上回る車両は、低評価になりやすいです。
タイヤの溝
ほとんどの車の買取査定で、JAAI(一般財団法人日本自動車査定協会)のタイヤ評価基準が明記されています。
具体的には、スリップサインが出ていると査定額が大幅に下がりやすいです。
タイヤの溝は残りの溝が5mm以上であれば高評価となり、1.6mm未満であればマイナス査定となります。
残りの溝1.6mm未満は、スリップサインが出ている状態です。
スリップサインが出ている状態だと法令違反になり、車検も通りません。
つまり、スリップサインが出ている車両だと販売に至るまでにコストがかかるため、マイナス査定となります。
改造車
改造はマイナス査定になりやすいですが、プラス査定になる場合があります。
プラス査定になる改造は、人気パーツや希少なパーツ、純正パーツを利用している場合です。
高性能のホイールやマフラー、カーナビが搭載されているとパーツそのものの価値が評価されます。
反対に、マイナス査定となるのは市場全体で見て需要の低い改造やその状態では車検に通らないような不正改造が施されている場合です。
内部の機能面(エンジンなど)
エンジンを始動させた状態で、異音があったりエンジンオイルやプラグに異常があったりすればマイナス査定となります。
付属品
付属品は、書類とオプション品の2つです。
書類は、車検証・自賠責保険・リサイクル券・取扱説明書の4つになります。
全て揃っているのが必須であり、揃っていなければマイナス査定になりやすいです。
また、必須ではないものの整備記録簿を提示できれば、過去にどのような整備が行われてきたのかがわかるため、プラス査定になりやすいでしょう。
オプション品は、新車購入時しか入手できないような純正オプション品があればプラス査定になる傾向です。
車買取時の査定基準についてはこちら
車に傷がついている場合の買取価格は?
細やかな判断基準があるものの、傷だと査定額に影響を与えるのは目立つ傷のみです。
目をこらしてようやくわかる程度の傷や2cm~3cm未満の浅い傷であれば、ほとんど査定額に影響しないと思って良いでしょう。
ここからは、車の傷と買取価格への影響を傷の程度と大きさ、場所の3つに分けて詳しく解説します。
◯傷の程度によって買取価格が変動する
深い傷や修理コストがかかる傷は、マイナス査定となります。
様々な程度の傷を解説しますので、査定前の疑問解消にお役立てください。
爪が引っかからない程の浅い傷
車両の傷に触れた時に爪が引っかからない浅い傷であれば、ほとんどマイナス査定になりません。
浅い傷であれば買取業者自身で修理が可能なうえに、浅い傷は丁寧に乗っていても砂利や小石でつくためです。
しかし、爪が引っかからない程度の浅い傷であっても大量にあると多少査定に影響する場合があります。
全体の状態で判断しましょう。
再塗装で傷が隠せる程度の傷
傷に触れた時、引っかかる場合でも傷の程度が塗装部分のみであれば査定に影響しません。
修理を行うとしても、再塗装のみで済むためです。
塗装部分のみの浅い傷の場合、1cm未満であればほぼ影響しません。
しかし、1cmよりも大きいと査定額に影響を与える可能性が高いです。
板金が必要になる傷
深い傷で車のボディ部分まで傷ついていたり目立つ修理跡があったりする場合には、専門業者による板金作業が必要です。
コストがかかるため、マイナス査定となります。
パーツ交換が必要になる傷
パーツ面積の半分以上に傷があるとパーツ交換となるため、マイナス査定となります。
◯傷の大きさによって買取価格が変動する
傷の大きさは、傷のサイズと部品面積でどれくらいを占めているかが判断基準です。
基本的には、1cm未満の傷であればマイナス査定にはなりません。
車の買取査定は、一般財団法人日本自動車査定協会によって基準を定めています。
ここからは、傷の大きさと具体的な減点の傾向を詳しく解説します。
カードサイズ
カードサイズの傷とは、クレジットカードやキャッシュカード程度の大きさです。
傷の大きさが1cm以上でカードサイズ未満であれば、10点減点となります。
当てはまる場合には、1万円程度買取価格が下がる可能性が高いです。
カードサイズ~A4サイズ
傷がカードサイズよりも大きく、A4サイズ未満であれば15点〜30点の減点です。
大きさとサイズ次第で15,000円〜30,000円程度の減額となります。
A4サイズ~パネルの半分
A4サイズ〜パネルの半分とは、A4サイズよりも大きく車のパーツ面積の半分程度を指します。
この場合、傷の具合や場所次第では減額の幅が大きいです。
65点〜100点の減点で、65,000円〜100,000万円程度の減額となります。
◯傷の場所によっても買取価格が変動する
車の傷と買取価格の関係で、最も大きな影響を与えるのはパーツ交換を要する場合です。
気を付けたいパーツを解説します。
バンパー
バンパーは、比較的傷をつけやすい部分です。
しかしバンパーは修理に際するコストの低さから、他のパーツと比較してバンパーの傷での減額は少ない傾向となってます。
9cm以上30cm未満の傷であれば1万円程度、30cm以上だと3万円程度、パーツ面積の3分の2以上の場合には5万円の減額となる傾向です。
バンパーの下部分につきやすい擦り傷は、修復にあまりコストがかかりません。
ドア/ボンネット/フェンダー
ドア・ボンネット・フェンダーも、不注意や飛び石、駐車ミスで傷をつけやすい部分です。
それぞれ大きなパーツであるためよほど大きな傷でなければパーツ交換にはなりにくいですが、部品交換は高額になります。
9cm以上30cm未満の傷で1万円〜3万円程度、30cm以上で2万円〜5万円程度、パーツ面積の3分の2以上で5万円〜10万円程度の減額になる傾向です。
ルーフ
ルーフは、落下物や雹といった突発的な出来事で傷やへこみができます。
部品交換となった場合、ルーフは最も高額になるパーツです。
9cm以上30cm未満の傷で1万円、30cm以上で2万円〜5万円程度、パーツ面積の3分の2以上で4万円〜8万円程度になります。
査定前に傷をなおしたほうがいい?
傷の状態によっては、買取価格に影響します。
そのため、見栄えを良くするために傷をなおすか検討している方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、買取前に傷の修理を検討している方へ向けた注意点を解説します。
◯自分でなおさない(ひどくなる場合も考えられる)
小さな傷であれば、市販のスプレーや傷隠しを使いたくなる方も多いはずです。
しかし、車の買取査定では「傷を大きくしている」と判断されます。
傷を隠したりなおしたりした分の数千円を上回ることはありませんので、自分でなおそうとしてはいけません。
◯修理に出さない(修理にかかった費用が)査定に反映されないから
業者に傷を修理してもらうのは、おすすめしません。
買取価格が上がった分より修理に要したコストのほうが上回るためです。
よって、傷があっても修理せずに持ち込むほうが結果としてお得になります。
車の傷以外に査定額に影響するもの
車の買取価格は、減点方式による総合評価です。
傷がなくても、へこみや修復歴があると判断されるとマイナス査定になります。
ここでは、傷以外の査定に影響するものについて簡単に解説しますので、参考にしてみてください。
◯へこみ
へこみは、大きさによって極小・小・大・要交換の4種類に分類されます。
傷と比較して、厳しい判断基準です。
1cm四方〜カードサイズまでの極小サイズでも場所に関わらず10点、カードサイズ〜A4サイズだと15点〜30点、要交換だと65点〜150点の減点となります。
凹みは程度と場所が悪ければ、15万円ほどの減額となる傾向です。
◯錆
錆は広範囲だとマイナス査定になりますが、1cm四方の軽微であれば査定額にはほとんど影響しません。
一方で、進行して穴が空いているほどの錆だとパーツ交換を要するため、大幅に減額します。
一見すると軽微な錆だったり穴がとても小さく見えたりしても、修理が難しければパーツ交換となりますので注意しましょう。
◯亀裂
フロントガラスはよほど小さな傷や亀裂でない限り、基本的には減点か交換になります。
見栄えはもちろんですが、視界を遮って安全上に支障を与えかねないためです。
◯修復歴
修復歴とは、事故や災害などによって骨格部分の交換や修正の経歴です。
買取価格には、確実に影響します。
度合いは、車種のランクや修復部位によって様々です。
完全に修理済みで運転に支障がなければ、5万円〜10万円の減額になります。
しかし、骨格部位の修復歴は事故車と扱われるため、さらに大きな減額となる傾向です。
事故車の買取についてはこちら
傷がついていても高く買い取ってもらうためには
ここでは、傷がある車を高く買い取ってもらう方法を紹介します。
◯一括査定(複数の業者に見てもらう)
同じ状態の車でも、業者によって買取価格が大きく異なります。
そのため、なるべく高く車を売るなら相見積もりをしましょう。
車の一括査定とは、住所と車種情報を入力すると近くの買取可能な店舗が自動的に選出されて、複数店舗へ同時に査定依頼が行えるサービスです。
少しでも高く車を売りたいと考えている方にはおすすめのサービスです。
◯下取りではなく買取を利用する
下取りよりも、買取のほうが買取価格が高くなりやすいです。
新車の納車時期に合わせたいなどが事情がなければ、買取を利用しましょう。
下取りと買取の違いについてはこちら
◯洗車
一般財団法人 日本自動車査定協会が定めた基準によると、洗車の有無は査定基準に入っていません。
それでも買取査定を行うのは人ですので、綺麗な車だと好印象です。
あまりにも汚れていると、持ち主が車を丁寧に扱っていないと見なされる場合もあります。
過剰に気にする必要はありませんが、泥だらけになっているなど酷い汚れがあるなら洗車するのも良いでしょう。
◯あまりに傷が大きい場合は廃車買取に目を向ける
廃車買取とは、状態が悪い車や事故車といった価値の低い車を買い取ることを指します。
傷があまりにも大きく、車種や状態なども総合的に考慮して査定額があまりにも期待できない場合の最終判断としておすすめです。
廃車買取を検討する場合には、廃車買取業者に連絡してみましょう。
まとめ
丁寧に車を扱っていても、傷がつくときがあります。
車の買取前に傷が気になったとしても、なおさずに査定に持ち込みましょう。
加えて、ご自身でなおすと査定額が下がりますので、そのまま持ち込むのがおすすめです。
傷以外のポイントにも気をつけて、なるべく高く買い取ってもらいましょう!